芸大油画卒はある意味、複業家という生き方の実践者の巣になる可能性があると思ってる話。
【芸大油画卒はある意味、複業家という生き方の実践者の巣になる可能性があると思ってる話。】
芸大油画の卒業後のキビシイ現実
芸大油の卒業後、就職率は約3%くらい。そして、行方不明者が1〜3割くらいになるとも言われてます。
そして、卒業から今年で7年目になりますが、7年経って美術制作を続けている同期は1割くらいになってるかなと思います。キビシイ現実ですね。。
その理由は「圧倒的に食っていくのが難しいから」と言われてます。
が、私はそうは思っていなくて、実際は美術業界自体の収益率の低さと、続けるためにするライスワークに追われ疲弊して辞めていく。
というのが、より中央値的な表現かなと感じています。
それには学生や従事者が想定する美術関連のライスワークの選択肢の少なさというのもあって、油画科を卒業後は学校の先生になるか、大学の教授になるくらいしか安定収入になる職業を想像出来ない現実もあります。
そのため美術制作をすることを考慮に入れた、卒業後の人生設計だったり、技能習得や準備もまま成らないまま社会に出てしまい、前述のような現実が重たく寝そべる事になります。
これが意味する事は、油画の人材は自身のクリエイティビティを活かした、0→1のビジネスだったりライスワーク(お金との関わり方)を考える事が圧倒的に苦手ということ。実際に先輩だけでなく、もちろん先生レベルでもこういったことをお話するのが得意な人材は皆無に等しいです。
つまり、これどういうことかって、
クリエイティブなことを学ぶ所なのに、
生き方のクリエイティビティや多様性が全然ない。
ということでもあります。
そして大体、在学中にこれらのことに気づいて絶望して目が死ぬ現象が多発します。
(いやもう、これ本気で大問題だと思います。)
ライスワークと複業家について
実は、私もそんな現実の中で非常に苦しみながらもがいてきました。未だ未だこれからの頑張り次第ですが、最近になってやっと、その中で生き方の多様性の一つとして、提案できることが少しずつ形になってきました。
それは複業家という生き方です。
複業という名詞は最近生まれた言葉でもあります
。私はその中で、美術家ともう一つ以上の職業を本業とする、複業家という生き方を実践しており、オススメしています。今の収入は決して多くは有りませんが芸大油画卒では珍しい年相応の収入だと思います。
複業家は未だ実践者は少ないものの注目や羨望を集めているようで、ライスワークだけに囚われず、比較的時間に融通のきく生き方のため、昨今では複業関連のセミナーは非常に人気があるようです。
実は芸大卒に関わらず、ライスワークに追われる状況は日本中どこでも起きていたり、どこかのタイミングで突きつけられる問題ではあります。
例えば、就職に有利な大学を出ていても社会人をしているうちに、時間に追われて疲弊したり、自分の好きな事は何だろう?このままでいいのか?自由な時間がもっと欲しい…。と悩むのはありふれた事なのです。
その点では、美術家を志すということはやりたい事がはっきりしていて幸せな方です。
そして、大好きな美術を続けるという目的のもと、複業家として在学中から学んで、さまざまな方向へチャレンジしていくべき、と私は考えています。そしてそれが目が死なずに、美術家を続けていく。生きていくことへの一つのソリューションなのです。
複業家
それは小さな商売(自分一人を生かすレベルの事業)をしたり、
その技能をもっている人間です。
実は既に私自身、何個掛け持ちしてるんだよ。笑。とツッコまれるくらいの業種をやっている複業家です。その中で、わりかしメインのライスワークにかける労力やストレスが少ないので美術制作が続いている部分が大きいですね。私の現在の仕事は以下の通りです。
- 美術家
- 西洋占星術の講師
- youtuber
- 会社員
- (デザイナー)
とはいえ、サラリーのライスワークは時間を多く食われるので、現在は本腰をいれて、美術家をしていく中で培ったクリエイティヴ関連の能力を活かしたの自営業の方(自分一人を生かす規模感の小さい商売)を立ててしまうこと(完全に脱サラ)に注力してます。
具体的に言うと、最終的にライスワークは1日のうち1.5h以内でサラリーマン一人分以上を稼ぐという目標にて努力しています。
(これは数字と実践さえ出せれば、ある意味で良い前例になれるだろうなと睨んでいますね。)
そして、そのような人材(複業家)が芸大から多く輩出されて活躍すれば、ある意味、日本で最先端の教育機関になりうると思うのです。働く感覚だったり、どのように社会と関わり影響していくかという点で非常にブリリアントですから。。
小さい商売と美術制作の違い
このブログを読んでいる方には、現在、在学中の方もいらっしゃると思うので、
今日は、私のやっている小さい商売についての考え方を少しだけ説明をしたいと思います。
まず始めに、私の小さい商売(コンテンツ作成)と美術制作の方法論だったり、コンセプトを実行する為の思考回路は基本的に変わりません。一要素しか変わらない状態で、やっていること手段や、考え方のベースはほぼ同じなのです。
その違いは、
「マネタイズ(収益化」という要素を中心に据えて、
創造(クリエイト)するかどうかの違いです。
この違いは、小さい商売の商品は野菜、美術制作(ワーク)の商品はお花に例えて説明することが出来ます。
- 野菜
- お花
(嗜好品=生きるために必須ではない。独自の品種を生み出すのは難しく価値化しにくい)
両方とも素晴らしい品種(商品や作品)には社会的な価値が認められますし、それを自分で生み出すことは非常にクリエイティブな作業で、能力や努力を求められます。
そして、大学在学中から、マネタイズにおいての最低限の技能を習得することや、知識を勉強することは、余るくらい裕福なお家のご子息でないかぎり必須だと思っています。
小さい商売の作り方
詳しい内容は企業秘密も多いので、お話しきれませんが、私の小さい商売(コンテンツ)の作り方を野菜を育てる事(種まき、育て、回収の三要素)に置き換えて説明したいと思います。
- 種まき
はじめに、種を用意して、それを撒く土壌を探します。種とは野菜の種(需要の有る商品や技能、コンテンツのアイデア等)です。土壌はその後に関わる部分で、種(植物)の発育に耐えうる環境か(市場規模、参入障壁、成長性があるか等)どうかを精査していきます。特に圧倒的にリソースや余裕の部分が少ないのが個人でやる小さい商売の特徴なので、いかに効率的に、駆け出した早い時点で、小さくても収益化するか(発芽)がこの時に重要となってきます。この条件とは、水分の量と気温そして酸素で、低コストでの販路の確保だったり、参入時期、原価•時間コストなどを示します。ここで芽を出す土壌や条件をしっかり見極めることは、意外に出来なかったりすることだったりします。しかしながら、こういった経済的な勉強や感覚を育てる事は生きていくためには必須です。ちなみに実際の野菜の栽培は、満月の一週間前に野菜は種まきをしたりするそうです。(発芽率が上がるため。)
- 育て
育ては、細々している部分が多く大変なのと、時間がそれなりにかかるので体力勝負になります。このあたりは、初期の段階での土壌選びがかなり重要で、途中からは種の力(コンテンツ力)が重要です。とはいえ、補強したり、施策打ったりで地味な作業が多く、結構、持続力と忍耐力が必要。モチベを保つという意味で体力勝負だったりしますね。一人でやる分の無駄を少なくする事(業務改善)だったり、顧客の動向を分析しながら施策を打ったり(マーケティング)をコツコツと積み重ねていきます。(ちなみに、平行してスケールさせる方向も探っていったりします。後述の回収のゴールに基づいて、一番リスクに見合った最適な展開を検討したり、準備をしていきます。)
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回収
回収は、間引き野菜的な要素(プチ収穫)と本収穫のゴール(単発型、連続型)をどこに設定するがミソ。つまり、どのような性質を持った収益形態を取るかを考える事です。案件ベースの単作(一本釣り)型なのか、持続的な連続収穫型なのかと。また、商売を継続していく為に得る収穫(収支のバランス)も考慮に入れます。連続型的な作物を単発的に早い段階で収穫してしまうと、最終的にスケールさせる幅が限られてきてしまうので、このあたりは育てながらしっかり精査していく必要があります。 -
スケールや展開
ある程度、労力をかけて商売を軌道に乗せていく段階で、スケールすること(規模拡大)や他の展開も検討していきます。このときの考え方は、一つの作物の強さを利用して、ほかのマネタイズ方法を考えるという事。労力を最大化していくということだったりします。
例えば、発芽力の強いトマトの種を持っていて植えたとしましょう。トマトは比較的成長の早い野菜かつ連続収穫(持続的な収入が見込める)作物です。トマトは比較的根付いてから、育ち始めに虫害(クレームなど)が出やすいので、その対策が重要。そして、トマトを植えた近くにバジルを植えると(サブ展開)、トマトの虫害を匂いでバジルが防いでくれたり、トマトが発育に必要な水分量を調整してくれたりする。こう言う感じで畑を豊かにしていくことができるのです。
最後に
こんな感じで、色々展開を考えたり、必要なデータ集めたり、コツコツ自分の小さな商売を日々育てながら美術制作をしています。毎日どたばたで、結局、貧乏暇なし状態です。汗
そして、まだまだアカデミーを説得出来るほどに数字を出していないので、これからの頑張り次第ですが、いつかクリエイティブに生きる術を開発するWSを企画したり、いつか芸大の悩める後輩たちへ講義をやらせていただきたいなぁと密かに思っています。
アートをすること。稼ぐこと。クリエイティブであることのワークバランスと、
何を学んで、何に挑戦するかについての授業です。
入った時や在学中に感じた、「お金の関わりや、ヒエラルキーで目が死ぬ現象」に楔を打ちたいのです。もし、就職率3%でも、複業率70%以上で色んな方向でマルチに活躍する人材が色々出てきたら、ある意味、芸大油画は時代の最先端を行く生き方を学べる場所のうちのひとつになると思うのです。
日本で一番クリエイティブな人材を出すための教育機関ですからね。
そのために早く数字と実績だすべく、頑張ろうと思います。
がんばるぞー!!
本日はこのあたりで〜