東京立ち食い蕎麦紀行【01 ひさご:浅草橋】2018.06.06

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浅草橋、秋葉原御徒町のTGS(立ち食いそば)激戦区をご存知でしょうか?


立ち食いそばって言いますと、

つい20年くらい前は女性が一人で入るようなところではない。とか言われていまして、

そういえば大衆酒屋もホルモン焼きも、、

敷居の低いところは、淑女にはなぜか敷居が高いというのが世の常な気もします。

 

私の幼少期は、蕎麦か湯豆腐かイカ飯とワンカップが大好物の祖父に溺愛されていたもので、そんな祖父に連れられて、お出かけは横浜:日の出町。

野毛山動物園のあとは決まってTGS(立ち食いそば)でかけ蕎麦。うどんを食べ物と認識するまでは大分時間がかかりました。

 

当時はカウンターの高さまで、まだまだ背丈が足りませんから、祖父はどんぶりを持って屈んで私にお蕎麦を食べさせていたのでしょう。

今でも「萌子~ほら食え~」という、背がすらっと高くて、何時もジーンズに白いシャツの祖父を鮮明に覚えています。

 

そんな思い出もあり、こういった庶民的で時間の匂いのするご飯屋さんに一人でふらっと入るのは、もはや趣味の一つでもあります。

 

東京はご飯屋さんがとても多いですし、特にこういった庶民的なご飯屋さんは下町付近に集中していますからね。

そして、銭湯もそうですが、町の色に紛れ込みながらひとりで愉しむ、自分にこういう趣味が多いっていうのは、都市部に育った一人っ子ならではなのかなとも思います。

女性でふらっと飯屋に入るのは、ちょっと小粋な趣味ってところに落ち着きますしね。

町の顔や時間に触れるのが大好きです。

 

 

【浅草橋 ひさご】天ぷら蕎麦

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さて、そんな浅草橋のTGS激戦区。浅草橋駅高架下は二つの老舗がございまして、今朝はその片方の「ひさご」さんへ。


入り口には味自慢ののぼり旗、べらんめえのおじちゃんと愛想の良いおばちゃんのやっているTGSでございます。

 

わたしが頼んだものは、

天ぷらそばの温かいの。340円。


お冷は生レモンが入っておりまして、セルフでポットから注ぐスタイルです。
頼んで間もなく、お蕎麦はやってきます。

 

桜えびの天ぷらは朝に揚げたてでございますから、何とも濃い江戸のお醤油かえしと濃いお出汁に絡んでぺろっと平らげてしまいそうになります。負けじと自家製麺のお蕎麦が年頃の乙女の様な艶肌でこちらも「私を食べて」と仰いますに、箸を持った木偶の坊はどっちが良いかと迷いつつも一心不乱に、品もなく貪り食ってしまうのです。

 

この店主のおじちゃんが常連さんと話しています。

 

「あれぇ、なんだっけ?三田線って言うのは横浜の方まで行けるのかい?」


「ああ、そうだね、途中で切り替わるんだね」


「俺は、よくのらねえからわからねえんだけど、三田で切り替わるんだろうな」


「乗り入れってやつだね」


「おうおう、そりゃ便利だな。そういや政府がハワイまで地下鉄乗り入れるとかってって言ってたなあ」 


「ハワイねえ。何だっけオアフ島かい?」


「そうだよ。オアフ島だよ。政府がねえ」


「それは便利なもんだ」

 

「俺もよう、そしたら一日乗車券でハワイまで行きてぇなあって思うんだよう」

 

あまりにも店主のおじちゃんの声が噺家さん。

そして後ろで女将さんが「うふふふ」と温かく微笑んでいるのが不意打ち。

わたしも、思わず笑ってそばを噴出しそうになってしまうのでした。

 

「大将、ごちそうさん!」


「おう!いらっしゃい!」
「え?!」


「今日は何食うかね?」
「あははは笑」


「ありがとうございました」
ごちそうさん~」

 

これは、私、とんでもないTGSに出会ってしまったと、残り少ないお蕎麦をすすりながら思います。


そして、お蕎麦を食べ終わりましてお店をでます。さてさて出勤です。

 

「ごちそうさまでした~」
「はいはい!ありがとね!」

 

もう、「ひさご」さんの大ファンになっている自分がおりました。都内の立ち食い蕎麦めぐり。

 

また朝やることが増えました。

 

ぼちぼち更新していこうと思います。